天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
そんな訳で夕食を終え、男女別れて入浴タイム。

「ふぃ~っ、極楽極楽」

湯船に浸かってそんな年寄りじみた事を言うのは八鶴。

だが確かに足の延ばせる広い湯船、湯加減もいい塩梅、ジャングルで流した汗もさっぱり洗い流して、生き返った気分になる。

「美味い飯とゆったり温泉、これぞ旅行の醍醐味ちゅう奴やな」

「何言ってんだ、ジジイかよ八鶴」

チカが不満げにブツブツ言う。

女装したままの入浴なので、他の男子生徒は混浴気分のような気がしなくもない。

が。

「僕は全然楽しくないね。むさ苦しい男と風呂入って何が幸せなのさ?嬉し恥ずかし混浴タイムこそ、修学旅行の醍醐味だろ!」

「混浴できる修学旅行なんて聞いた事ないですよ」

湯気でくもった黒縁眼鏡を擦りながら言う秋帆。

「なら…」

チカの瞳が再びキュピーン!と輝く。

「挑戦する?男の浪漫、女湯覗き!」

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