天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
ピクリと、八鶴の眉が動く。

「せやな…男には、困難に立ち向かわなあかん時もあるねん」

「や、やめましょうよ…見つかったら只じゃすみませんよ…?」

例の『怖いか怖くないか』を天秤にかけた結果、あっさりと却下を選択する秋帆。

「さよか、ほなしゃあない、秋帆は待っとれや。俺とチカで雛菊ちゃんの眼福小麦色スレンダーボディを…」

「僕もいきますっっっっっ!」

バシャアッ!と勢いよく湯船から立ち上がり、秋帆が宣言した。

…そうと決まれば話は早い。

そそくさと男湯から出た三人は、抜き足差し足忍び足で女湯へと近づく。

暖簾の向こう、引き戸越しに聞こえる、うら若き娘達のキャイキャイと姦しい声。

「うお、こりゃたまらん…」

鼻の下が伸びている八鶴。

「この引き戸の向こうに、男子禁制、禁断の花園が…」

メチャメチャ鼻息荒いのはチカ。

「…………」

ぽわわわわ~ん、と雛菊の裸でも想像しているのか、秋帆は赤い顔をしている。

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