天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
狭い布団の中という空間。

仕方なく雛菊と秋帆は身を寄せ合って隠れる。

「…っっ…」

いい匂いはするし体は柔らかいし息がかかるほど近いし。

秋帆は既に昇天しそうなほどクラクラしている。

雛菊の方も、兄弟以外の男性とこんな至近距離まで近づくのは初めての事だ。

如何なスペシャルハレンチとて年頃の娘。

これは否応なく緊張する。

「ち、ちょっと秋帆君!それ以上近づいてこないで!変なとこ触ってる!」

「不可抗力ですよっ!もっと内側に入らないと僕が見つかってしまうんですっ!」

ヒソヒソと言い合う二人。

月に見つかりそうな緊張なのか、狭い空間に二人きりという緊張なのか、わかったものではない。

< 93 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop