君のためにできること
俺は、ずぶ濡れになりながら、なつみが搬送された病院に急いだ。


病室のベッドの上に、なつみは綺麗な顔で寝ていた。頭には包帯がしてあった。


先に着いていたなつきが、俺の顔を見て、叫ぶ。


「優!」


「なつみは、なつみは無事なのか!」


なつきは答えるかわりに、その場で、泣き崩れた。


「手は施したんですが、脳の損傷が激しくて今・・・」


医者がそう言い、すべてを悟った時、俺はなつみの体に触れた。


「なつみ、どうしたんだよ」と、俺は呟いた。


「いつもみたいに笑ってくれよ。起きてくれよ!冗談だよって言ってくれよ!」


目の前の何かが壊れ、歪んでいった。


なつみはもう、二度と、笑うことはなかった。
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