君のためにできること
救急車に乗り込み、俺はなつきの手を握っていた。


救急隊員が電話をしている。受け入れ先の病院が見つかったらしい。


不安が拭われた。


幸いに、なつきの脈もあった。少しだけ安心した。


ただ、なつきに、何度も呼びかけるが、何の反応もなかった。俺は何もしてやれることがない。


無力だ。


病院までの時間が、恐ろしく長く、感じる。


「なつき・・・・・・」と、俺は呟いた。


俺は、また、お前の笑顔がみたい。


「ちくしょう・・・」
< 30 / 95 >

この作品をシェア

pagetop