君のためにできること
次の日、俺はまたなつきに会いに来ていた。まことは、用事で来れないらしい。


なつきはベッドに横たわり、俺のほうを見ようともしなかった。理由を尋ねてみても、返事がなく、俺は椅子に座り、窓から見える景色を眺めていた。


「なあ、一体、どうしたんだよ?」


俺はなつきに視線を向けた。なつきは、体を子犬のように震わせていた。


「・・・どうしたんだよ?何で元気ないんだよ」


「私・・・私・・・」


なつきは、か細い声で泣き始めた。


俺は、わけがわからず、彼女の次の言葉を待った。


なつきは、泣き止み、兎のような瞳で俺を見る。


「・・・癌なの」
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