君のためにできること
俺は現状を把握できず、なつきの言った言葉が頭に入らなかった。


なつきはこう続けた。


「先生が胃のところに白い影があるって言ったの。でも、早期発見だから、問題ないって・・・でも、抗がん剤打たないといけないの」


「・・・助かるなら、そうするしかない」と、俺は言った。


「でも、本当に治るのかな。転移してたらどうしよう。それに抗がん剤の副作用が怖くて・・・」


「お前、他の患者に失礼だろ。生きたくても生きれない人間なんていくらでもいる。お前は助かるんだろ?」


「・・・ごめんなさい」


俺は椅子から腰を上げた。


「俺は、どんななつきでも、かまわないから。どんな姿になっても気にしない。なつきはなつきだろ?」


なつきは、手で顔を覆い、泣いた。


「ありがとう。私、優と出会えて本当に嬉しい」


なつきの両手から涙がこぼれ出した。


なつきは俺の手を握った。俺はなつきを抱きしめた。





「なつき、どんな時も俺がそばにいる」
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