君のためにできること
とりあえず腹ごしらえにラーメンでも食べようと、繁華街に向かった。


三十分ほど歩くと、小奇麗な中華料理屋があったので入った。


「いらっしゃいませ!」


威勢のいい店主が、俺を迎えた。


「ラーメン」


「へい、ラーメン一丁!」


店主がカウンターから厨房に怒鳴る。


テレビの音すら聞けない。


テレビを見ると横倒しになった電車が映っていた。


「ひでえなあ、脱線だな」と、店主が腕組している。


・・・俺はその映像を見て凍りついた。


電車はさっきまで、俺が乗っていた電車、まさにそれだったからだ。
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