君のためにできること
「月って不思議だね」


なつきは呟いた。俺は、指一本動けなかった。なつきは俺の瞳を覗き込んだ。


「私は、私だよ」


なつきの瞳の中からは、何の感情も読み取れない。俺は、なつきの言葉を頭の中で繰り返し、唱えた。


「私は、なつみのかわりじゃなくて、優の彼女なんだよ」

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