君のためにできること
「シエル?綺麗な名前だね!」


なつきはシエルに興味がわいたようだ。シエルはぼんやり、窓の外を見ている。


「なつき、そろそろ帰るよ」


俺は妙にこの場の雰囲気が嫌で帰りたくなっていた。考えてもみれば、ややこしい展開になる。


「もう帰るの?来たばっかりじゃん?」


なつきは、不満げにしている。


「なつきの元気な様子を見て、安心した。明日も来るよ」


「うん・・・」


「じゃあな」


「待って」と、なつきは言った。


「シエルさんって本当に従妹?嘘ついてない?」


相変わらず勘が鋭い。シエルはほとんどなつきと視線を合わせない。シエルもなつきに言いたいことはあるようだけど、俺のために黙っていてくれた。
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