最低王子と小悪魔女
1話 最低王子・慎吾


 頬をひっぱたく痛烈な音が響いた。
 人気のない高校の屋上、ただ一組向かい合った制服の男女の間で。


 あたしはそれを悪趣味にもドアの隙間からのぞく羽目になっている。
 痴話ゲンカするカップルに興味があるんじゃない。男の方に用があるだけだ。

 ……それにこんなもの、珍しくもなんともない。


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