最低王子と小悪魔女
何が理由でこうなってるかといえば、当然あたしなんだろうけど、この状況で口を挟む度胸は残念ながら持ち合わせていない。
やがて、ふっと慎吾が笑った。頑として譲らない時任君の、その強情さにあきれたように。
「どーしても譲らない、って顔だな」
「当たり前だ」
「わかった。なら勝負に勝った方が言い分を通すってのはどうだ? 俺が勝ったら波月は連れて帰る。負けたら大人しく引き下がるよ」
「勝負だって?」