最低王子と小悪魔女
パツン、と小気味のよい音を立てて、ボールはバスケットゴールをくぐる。誰もが息を呑むくらい、慎吾のフォームは綺麗だった。
拍手と同様に、キャーとか何とか黄色い声援が飛び交った。もはや球技大会並の盛り上がりである。
「ま、なかなか男も複雑な生き物なもんなんだよ。波月ちゃん」
パイプ椅子の背もたれに手を置いて、親しげに距離を詰める中城先輩。その顔には、えらく楽しそうな笑みが浮かんでいる。
……人はそれを、悪だくみしてる顔と表現するだろうか。