最低王子と小悪魔女

 フリースローは、交互に滞りなく続けられていく。
 現在16本目。

 これがすごいことなのかどうかはあたしにはわからない。
 だけどこの場にいる誰もが、息を呑んでコート上のシューターを見守っているから、きっとそれほど価値のあるものなのだろう。


 ――息が詰まる。


 別に、あたしがどうなるってわけでもない。
 ここに留まるか、離れるか。ただそれだけのこと。どちらが勝ったって構いはしない。

 なのになんで、こんなに苦しいんだろう。

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