最低王子と小悪魔女

「つらい? 波月ちゃん」

「……少し」


 中城先輩の問いかけに、珍しくあたしは素直にうなづいた。


 時任君がスローしたボールが、バックボードに当たってからゴールネットをくぐる。

 ただならぬ緊張感の中で投球を続けているせいか、その横顔には疲労の色が見て取れた。


「好きな子にそんな顔させてるなんて、馬鹿な奴らだと思うけど、それでも嫌わないでやってくれな」

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