最低王子と小悪魔女

「嫌うなんて……そんな」

「そうだよな。君はそーいう子じゃない」


 コートの中と外。シューターの入れ替わりの時、ふたりが言葉を交わすこともない。
 目を合わせることだって。

 ただ、すれ違うふたりの間に、ぎすぎすとしたものがあるだけ。見ているだけでも伝わってくるほどに。


「自分を責めてるって感じかな」

「……」


 ――慎吾のあんな顔を、あたしは初めて見た。

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