最低王子と小悪魔女
 なんで謝るのよ。
 あたしはあんたに勝って欲しいだなんて、一言も言ってない。


「へー、まだ余裕あるんじゃん。矢柴の奴。そろそろへばるかと思ってたけど」


「すみません、練習の邪魔してますよね……」

「ああ、いや、それはいいんだけど。こんな面白いもの見せてもらえるなら。……おっと、これは不謹慎だったかな」

「……いえ」


 早く、終わって欲しかった。
 今の気持ちは、ただそれだけだった。




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