最低王子と小悪魔女
――20本目。
疲労で手元が狂ったのか、それともあたしの願いが叶えられてしまったのか、ついに時任君のシュートが外れた。
苦い表情の時任君を見ていられなくて、コート上の慎吾の投球を眺める。
震えるくらい、涙が出そうなくらいにその姿は綺麗だった。
吸い込まれるようにネットをくぐり抜け、澄んだ音を立ててボールが落ちる。
体育館を揺るがすほどの喝采が沸き起こり、ようやくこの戦いの雌雄を決したのだった。