最低王子と小悪魔女
「待たせてごめん、思ったより時間がかかった」
慎吾はワイシャツの袖で汗を拭いながら、あたしの膝に置かれていた上着を取り、肩にかける。
その顔には、いつもの笑みがある。
どういう神経構造してるんだろう。さっきまであんなキツそうな顔をしてたのに。
「センパイ、どうもありがとうございました」
「いやいや、気にすんな。
バスケ部にスカウトしたいくらいだよ、矢柴」
「はは……遠慮しておきます。俺、いつも応援してくれる子がいないと熱くなれないタイプで」