最低王子と小悪魔女

「待たせてごめん、思ったより時間がかかった」


 慎吾はワイシャツの袖で汗を拭いながら、あたしの膝に置かれていた上着を取り、肩にかける。

 その顔には、いつもの笑みがある。

 どういう神経構造してるんだろう。さっきまであんなキツそうな顔をしてたのに。


「センパイ、どうもありがとうございました」

「いやいや、気にすんな。
バスケ部にスカウトしたいくらいだよ、矢柴」

「はは……遠慮しておきます。俺、いつも応援してくれる子がいないと熱くなれないタイプで」

< 143 / 267 >

この作品をシェア

pagetop