最低王子と小悪魔女

「そりゃもちろん、波月ちゃんもマネージャーにスカウトするさ」


 本気を疑わせる口ぶりである。慎吾はそれに、あいまいに苦笑いを返した。

 ひとつおじぎをしてから、あたしの腕を引いて歩き出す。
 そのスピードに足をもつれさせながらも付いて行くと、途中時任君の横を通り過ぎた。


 何も言わずに行ってしまうのだろうか。そんなことを思いながら慎吾の背中を見つめていると、慎吾はピタリと足を止めた。

< 144 / 267 >

この作品をシェア

pagetop