最低王子と小悪魔女
「わかってるよ、波月がそーいうこと言わない子だって。でも、必死で祈ってくれたのは伝わったから。
無意識でも、幼なじみが目の前で負けるのが忍びなかったんだよな? 波月は」
――ああ、なんだそうか。
さっきからずっと考えてて、出せなかった答えはここにある。
言われてみれば、至極自然な理由だったんだ。
それも仕方ないよね。だってあたしは一度も、慎吾が何かに負けるところなんて、見たことなかったんだから。