最低王子と小悪魔女

 すると慎吾はこちらを向いてはいるものの、視線をさまよわせてろくに目を合わそうとしない。

 ……なんでだ?


「もし、もしもだよ?
俺が、おまえの――」

「……おまえの?」


 出来るだけ穏やかに、途切れたその先をうながしてみる。


 さっきのしおらしい態度といい、今のこの歯切れの悪さといい、今日の慎吾は本当に変。

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