最低王子と小悪魔女

 慎吾はそこで言葉にするのを諦めてしまったみたい。

 気まずく降りた沈黙を打ち消すように、脈絡なく笑って手をパタパタと振ってみせた。


「あ、いや。やっぱいいや。また今度」

「なによ、もったいぶるわね」

「もったいぶってんじゃなくて……ためらってるんだって、どうして思わないかな」


 肩をすくめながら言うな。
 しょーがないなーって雰囲気がなんか妙に腹立つぞ。

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