最低王子と小悪魔女
「それはまるで、あたしの察しが悪いとでも言いたげに聞こえるけど」
「うーん、それは不幸な誤解だなあ」
「何が不幸な誤解だっ! 他意ありまくりの言い方してるくせに! 大体あんたっていっつもそう――」
なんて。
そんな他愛のないやりとりをしながら、ゆったりとしたいつものペースであたしたちは帰途に着いた。
いつの間にか出来てしまった歪み。
でもそれを感じさせない、日常のやり取りが楽しくて。そしてそれは、今まで当たり前にあったもので。