最低王子と小悪魔女
「大体、俺をなんだと思ってるんだよ? 腐れ縁の幼なじみ? よくなついたペットか何かか?
人を馬鹿にするのも大概にしろよ」
「あたし、そんなつもりじゃ……馬鹿にしてなんか」
慎吾があまりにも鋭い目つきでにらむから、あたしは思わず口をつぐんだ。
『聞きたくない』って、冷たい拒絶だった。
あたしはいつも、慎吾に許されてた。
扱いがひどくても、冷たくしたりわがままを言っても、優しい慎吾はいつだって受け入れてくれてたんだ。
子供の頃からある心地よい部屋。
慎吾がいる場所はどこでもそう感じてた。
なのに、その慎吾に初めて否定されて、途方に暮れて泣きたくなる。