最低王子と小悪魔女
『泣いてもいいけど、その後はシャキッとしな!』
腰に手を当てて、勝ち気に胸を張ったその子は、大きくなってもあんまり変わってないな。
なんかどっか偉そうで、そしていつもそんな仕草を可愛いと思ってた。
――リフレインする。
独りで泣く、可哀想な女の子の後姿。
今この瞬間も、波月がそんな風に泣いてると思ったら、居ても立ってもいられない。
たぶん、泣いてない。長い付き合いだから、それくらいはわかる。
でも……そう考えたら、たまらなかった。