最低王子と小悪魔女
 俺は男友達より断然波月優先だったから、いい加減俺が波月を好きだって周りが気づいてもおかしくないって思うのに(波月は無理。だってニブイだから)
 残念ながらそういう兆しはカケラもない。

 飼い犬みたいだとか、主従関係だとかはよく言われたけど。うん、俺にもその自覚はある。


 そうやって、俺の片想い歴が10年にさしかかる頃 ――高二の春、つまり今年――、久々に波月と別のクラスになった。


 実はこれ、結構きつかった。
 目の届くところに波月がいないってのは。

 今頃誰と話してるんだろうとか、知らないうちにヤローが近寄ったりしないかとか。
 ヘラヘラ愛想笑いする裏で、モヤモヤとした不安がいつも渦巻いてた。

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