最低王子と小悪魔女

 俺は波月さえ信じてくれるなら、俺の言葉に耳をかたむけてくれるならって、自分に言い聞かせたんだ。


 それが、波月のバイト終わりに呼び出されて、会うなり昼間以上のビンタが飛んできた。


 バイト先で盛大に文句を交えた事情を聞かされたのだと言った。しかもビンタ付きで。
 波月はうんざりした顔で、『なんでそんな馬鹿やったの?』って聞いてきた。


 その瞬間、俺がどれだけ絶望したか。
 言葉ではきっと表現しきれない。


 そりゃ、ヤケだって起こすよ。
 だって、たったひとり、俺の味方でいてくれるって思ってた子から、そんな仕打ちを受けたんだから。

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