最低王子と小悪魔女

 時任が波月に告白したって噂を聞いて、平常心を失っている俺がいた。


 俺には波月だけをキャッチする最新レーダーが付いてるんじゃないかって時々思う。むしろ本当にそんなものがあるなら欲しいくらいだ。

 ……とにかく、それぐらい正確に居場所を見つけて、突然の告白に驚き悩む波月に精一杯気持ちを伝えて――肘鉄と罵倒を喰らった。


 確かに、一生懸命すぎて余計なことまでしちゃったような気もするし、屋上って場所も悪かった。

 ここ半年は、俺にとっての鬼門だ。


 ここから、もともと歪んだ歯車がガタガタと狂い始めた。
 何をしてもうまくいかない。
 何を言っても、波月を戸惑わせ疑わせるだけ。

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