最低王子と小悪魔女

 中城先輩の時だって、あんな見え透いた手に引っ掛かって、コノヤローってボールを投げつけちゃったりするんだから。
 俺もまだまだ子供ってことだよな。


 ……わかってるんだ。
 俺がガキだったから、こうなったんだって。
 もっとうまく立ち回ることが出来てれば、ちゃんと俺の気持ちを伝えることが出来てれば、こんな風にこじれさせてしまうこともなかったんだ。

 でも素直に言えなかった。

 言えば、付かず離れず幼なじみって、
ちょっと物足りないけど居心地のいい関
係が、壊れてしまいそうだったから。

 俺は、幼なじみでも友達でも、何だっ
たら兄弟でもかまわないんだ。

 波月がいなくなるくらいなら。
 波月のいない明日なんて、未来なんて考えられないんだから。

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