最低王子と小悪魔女

 そしてその好きな人にはどんな言葉も届かなくて、タチの悪い遊びと疑われて。

 殴られたり冷たくされて、肘鉄も喰らったし、ホントとんでもなく痛い目にあった。


 ――そして、波月を傷つけた。これがなにより一番つらい。

 俺にとっては1万回の肘鉄なんかより、波月がどこかで泣いてるんじゃないかっていう予感だけでも、そっちの方がよっぽど痛い。
 たとえナイフで胸をえぐられたとしても、比べ物にならないくらい。


 自暴自棄だったとはいえ、何人もの心を踏みにじった罰。
 でもその罰なら、せめて波月だけは巻き込まないで欲しかった。

 確かに引き金を引いたのは波月なのは、俺への一番の罰なら、当然波月に関わりのあることに限定されるんだけど。


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