最低王子と小悪魔女

『――もしもし? やっぱりあんた、教室に帰ってなかったのね。
今どこ?』


 さっき、生まれて初めてってくらい最悪に気まずい別れ方をしたのに、聞こえてきたのは、いつものちょっとしたお叱り口調。

 危うく錯覚しそうになる。あれが全部夢だったのかななんて。


 そんな悪夢なら、俺は一生見たくないんだけど。


「ユーレイもひょっこり顔出す第三音楽準備室、かな。で、電話なんてどうしたんだよ」


 冗談でも言ってないと、正直キツイ。お姫様の方は、何とも思ってないのかな?
 ある意味うらやましい精神構造してるよ、まったく。


 なんて思ってたら、電話の向こうから重い溜め息が届く。

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