最低王子と小悪魔女
『……やっぱりね。あんた、泣いてたんでしょ』
それは確信を持った質問だった。
だから否定しても無駄。波月は絶対信じない。
昔からそういうとこがあったんだよな。俺のことは何でもお見通しって。
だから、そんな俺だから、何を考えてるのかわからなくなって不安になったんだろうなーなんて思ったら……
ああ、自己嫌悪。
俺の沈黙を別の意味にとらえたらしい波月は、声低く弁解めいて続けた。
『……放っておけとか思うかもしれないけど、あんたが泣くのは昔からたまんないのよ。
で、運悪く気付いちゃって、死ぬほど気になったから、仕方なく電話したの。
文句言うなら、あんたがいつの間にかあたし付けた、あんた専用のレーダーに言ってよね』