最低王子と小悪魔女
でも、そんな苦労の甲斐なく波月は察知して、
『笑いたきゃ笑えばいいでしょ。しょーがないじゃない。今電話してるのが死ぬほど不自然で気まずくて倫理的に間違ってても、自分が痛いより、あんたが痛い方がよっぽどツライんだから』
ひときわ不機嫌そうに言った。
ふたりとも同じ気持ちでいるのに、どうして俺たちは分かり合えず、こんなにもこじれてしまったんだろう。
幼なじみじゃなきゃ、多分ここまでの気持ちにはならなかったと思うけど。
幼なじみじゃなきゃ、もっと簡単に先へと進めたのかな。
友達と幼なじみとじゃ、恋人までの距離が違いすぎるんだよ。きっと。
「ありがとう、波月。俺はもう大丈夫だから」
『あ、そう。わかった。それじゃね』