最低王子と小悪魔女

 普段は試合中だって人の良さそうな顔をしてるのに、今は思いっきり不機嫌を装った怖い顔。
 時任君は無言で、何をするでもなく、毎日毎時間ずーっとこうして隣にいる。


 この一週間ずっと、無遠慮で面白半分な奴らが話しかけてくるのを、こうやって阻止してくれてるんだろうなって思った。

 確かめたわけじゃないし、聞いてみるのも野暮な気がするけど。





 ――そう。あれから一週間、慎吾はあたしの前に姿を現さなかった。


 元々あたしから会いにいったりはしないし、慎吾は会いたければ自分から飛んでくる奴だし。
 そもそも今はどんな顔をして会えばいいかわからないし、多分、これでいいんだと思う。

< 215 / 267 >

この作品をシェア

pagetop