最低王子と小悪魔女
一度だけ、廊下ですれ違った。
さすがに、こんな時には付き合いの長さを感じない訳にはいかないな。
お互い何となく意識しただけで、目を合わすことなく行き過ぎることが出来たんだから。
気まずい、っていうのとはまた、別の思いを抱えながら。
慎吾が前みたいに、会うたび別の女の子を連れている、なんてことはなくて安心する。
安心して――それがやっぱり、慎吾の隣にいる女の子にずっとヤキモチ焼いてたんだってことに気付かされた。
その時は、ただ何となくモヤモヤして腹が立って、最終的には慎吾に八つ当たりみたいなことをしてたっけ。
懐かしさはそのまま寂しさに変わる。
たった一週間。で生まれて初めての、慎吾がいない一週間。
アルバムを引っ張り出して眺めたりするあたり、自分でもどうかしてるんじゃないかって思うよ。