最低王子と小悪魔女

 別に、下校時間をずらしてるわけじゃない。
 家が超近所だからって、運悪くはち合わせするのを避けてるわけじゃないんだ。


 ……なんて、誰も聞いてない言い訳を心の中でつぶやきながら、放課してからたっぷり1時間、図書室で潰してから帰る。

 最近のあたしの、ちょっとだけ不純な日課。

 ここは暖房が効いているし、噂話をする余地がないほど静かだからうってつけ。
 司書の先生も優しくていい人で評判だし。


 珍しい顔が一週間連続で現れても、特に理由をたずねることもしない。
 こういうところが、ここの居心地の良さのひとつかもしれない……なんて思いながら、挨拶をして図書室を後にした。



 暖房に緩んだ身体を、一気に引き締める寒さに身震いしながら、いつものように校門へと歩いていると、

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