最低王子と小悪魔女

「何を心配してくれてるのかは聞かなくてもわかる。でも、黒木が気にすることじゃないから」

「と言われても……時任君の後ろに弓先輩の顔がちらつくんだけど」


 ホントにチラチラッとね。気になって仕方ないんですけど。
 

 あたしの指摘に、思わずといった様子で真後ろを振り返る。当然ながら、件の鬼キャプテンの姿はない。

 てか、いたらミカン箱か何かに乗らない限り、長身の時任君に隠れて見えないと思うけど?


「……悪い、黒木。そういう寿命の縮まりそうな冗談はやめてくれ」

「うん……ごめん」


 あたしは、それはもう素直に謝った。人の弱点には軽々しく触れちゃいけないな。うん。

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