最低王子と小悪魔女
途切れながら、つっかえながら。
それでも一通り語り終える頃には、かろうじて残っていた夕焼けもビル群に沈んで消えてしまった。
「なるほど、な。だから矢柴があんな、女子を敵に回すようなことしてたのか。噂を聞いた時にはまさかと思ったけど、それなら納得がいく。
――覚えてるか? おまえら一年の時一回だけ、バスケの練習見に来てたの」
「うん。確かあの時は、花那……瀬戸口さんの付き添いだったと思うけど」
で、例のバイオレンスな弓先輩にボールを投げつけられて、とばっちりで痛烈な一撃をもらいそうになったんだ。
それ以来、慎吾は極力あたしをバスケ部に近づかせようとしなかった。
その代わりに、しばらくは慎吾一人で花那の付き添いをしてたっけ。
その時に面識でもあったのかな? それにしては全然友好的じゃなかったけど。
……いや、仲のいい慎吾と時任君ってのも、今思うとちょっとキモチワルイかも。