最低王子と小悪魔女

「びっくりしたよ。あの弓先輩に正面切ってケンカ売る奴なんて初めて見たから。
いや、後にも先にも矢柴一人だな、今のところは」

「あれって、ただ意見してただけのような気も……」


 慎吾がまともに顔色を変えて、練習中の体育館に乗り込んで行った時はヒヤヒヤしたぞ。
 んでもって慇懃無礼にまくし立ててた。怖いもの知らずってのはあいつのことだな。

 そして翌日、先輩はご丁寧に詫びを入れに来た。わざわざ下級生の教室に足を踏み入れるのは、あのプライドの高い弓先輩にしてみれば、さぞかし屈辱だったことだろう。

 でも、時任君が言わんとしてたのは、そのことじゃないらしい。


「なんだ、知らなかったのか。あの後弓先輩と矢柴が決闘したって」

< 225 / 267 >

この作品をシェア

pagetop