最低王子と小悪魔女
「びっくりしたよ。あの弓先輩に正面切ってケンカ売る奴なんて初めて見たから。
いや、後にも先にも矢柴一人だな、今のところは」
「あれって、ただ意見してただけのような気も……」
慎吾がまともに顔色を変えて、練習中の体育館に乗り込んで行った時はヒヤヒヤしたぞ。
んでもって慇懃無礼にまくし立ててた。怖いもの知らずってのはあいつのことだな。
そして翌日、先輩はご丁寧に詫びを入れに来た。わざわざ下級生の教室に足を踏み入れるのは、あのプライドの高い弓先輩にしてみれば、さぞかし屈辱だったことだろう。
でも、時任君が言わんとしてたのは、そのことじゃないらしい。
「なんだ、知らなかったのか。あの後弓先輩と矢柴が決闘したって」