最低王子と小悪魔女
「一番重要なことが抜けてるよ。黒木。
矢柴が黒木にとって大事で必要でーってのはわかった。でも俺はそれじゃ納得出来ない」
「え……」
「気を遣ってるつもりなら、遠慮しないで言ってくれ。俺の覚悟はとっくに出来てるから。
言って――俺に、諦めさせてくれよ」
時任君は口元をキュッと引き締めて、あたしの答えをうながした。
確かにここで躊躇したら、時任君に対して失礼だ。
あの昼休みの告白から大分時間がかかったけど、ちゃんと自分の気持ちを伝えなきゃ。
今までもらった、たくさんの優しさに報いるためにも。
「うん、好きだよ。あたしは、慎吾のことが好き」