最低王子と小悪魔女
「大体さあ、どっちも鈍くて不器用だよな。そこまで好き合ってて、どーして今までうまくいかなかったんだか。
周りからすりゃメーワクな話だよ」
被害者のT君は苦笑いしながらぼやく。
いやまあ、確かに迷惑かけたけど。これでも当人たちは結構真剣だったんですけど?
「わかってるわかってる。そんな顔するなって。黒木がキツい思いしてたのは、見てたから知ってる」
「そうだよ。これからまたぶち当たって来なきゃいけないってのに」
わざとむくれて見せたら、時任君はちょっと考えるような素振りをして。
「黒木。元気になるパワー送ってやる。携帯出して」
「……なにするの?」
「まあ見てろって」