最低王子と小悪魔女

「言うと思ったよ。なんてったって、俺が惚れた奴だからな」


 いっそ嬉しそうに笑った時任君。わだかまりのなさに、あたしは内心ほっとした。


 ――好きになってくれた人が、時任君でよかった。

 その気持ちに応えることは出来なかったけど、申し訳ないことをしたんだけど、時任君の存在にあたしは本当に救われたんだ。


 ねえ、あたしなんかじゃもったいないよ、時任君。だって君はすごくいい人だもん。
 今にもっと、あたしなんかよりずっとずっと、素敵な女の子が現れる。
 だから――



 本当にありがとう、時任君。



< 234 / 267 >

この作品をシェア

pagetop