最低王子と小悪魔女
「言うと思ったよ。なんてったって、俺が惚れた奴だからな」
いっそ嬉しそうに笑った時任君。わだかまりのなさに、あたしは内心ほっとした。
――好きになってくれた人が、時任君でよかった。
その気持ちに応えることは出来なかったけど、申し訳ないことをしたんだけど、時任君の存在にあたしは本当に救われたんだ。
ねえ、あたしなんかじゃもったいないよ、時任君。だって君はすごくいい人だもん。
今にもっと、あたしなんかよりずっとずっと、素敵な女の子が現れる。
だから――
本当にありがとう、時任君。