最低王子と小悪魔女

「おーい、はーるなー。ここだよ、ここー」


 ぶんぶか手を振りながら、いかにも何にも考えてなさそーな顔してこちらを見上げている、ゴールデンレトリーバー……もとい、慎吾。


 足下に視線を落とすと、ベランダには散らばった小石がバラバラと。
 あいつ、これ全部投げつけてやがったな?

 ……あ、こんだけかかってよーやく気付いた、あたしもあたしか。


「ちょっと、割ったら弁償してよねー。
で、なに?」

「いや、なんか、こーいうのもいいかなって。ロミオとジュリエットっぽくない?」


 制服の上着を脱いだ上に、ブルゾン羽織ったロミオ? ジュリエットに対して失礼じゃないか?
 しかも、よく見たら髪が半乾きだ。湯冷めしても知らないからな。

< 236 / 267 >

この作品をシェア

pagetop