最低王子と小悪魔女
慎吾は、最初ぽかんとした顔をして。
それから口元を押さえて絶句、最後には力なくうなだれる。
ショックを与えたあたし自身が言うのも何だけど、傷はかなり深いようだ。
「なんだよ、それ……俺と釣り合わないとか、何言ってるんだよ……」
文句があるなら、その人並み優れたルックスに言ってくれ。苦情は一切受け付けない。
大体、慎吾は自分が美形だって自覚がなさすぎる。
そのすらりとした長身だって、あたしが隣を歩くには高すぎるんだ。
全然わかってない。
矢柴慎吾って男が、どんなにすごい奴かって。まるでわかってない。
「この……馬鹿波月!
あんな四六時中ベッタリで、呼ばれたら超特急で駆けつけて、犬みたく従順・忠実なこの態度! それでどうして『ひょっとしてあたしのこと好きなの?』とか思わないんだよっ! ちょっと想像力に乏しいんじゃないか?」