最低王子と小悪魔女
 いや、怒るのもわからなくはないが、それはあんたにも責任があるんだぞ?

 なんてったって、慎吾のあの忠犬っぷりはすっかり、あたしの『調教のたまもの』 という認識で皆様に定着してたんだから。
 恋する男の行動からは逸脱してたってことだよ。慎吾君。

 そもそも、誰が調教したってのよ。人聞きの悪い。お陰でこっちは、白い目で見られてた時もあったってのに。
 ああもう、腹立つ。


「そりゃちびーっとは思ったわよ! でもあいにく、そんな憶測だけで自惚れていられたり、告白出来るよーな丈夫な心臓持ってないのよね!
第一あんたには、もっと可愛くて素直で育ちも気立ても良くて、思わず守ってあげたくなるよーな女の子が似合ってるのよっ!」

「なにその理想の女の子像。波月のシュミ? そーいうの押し付けないでくれよな。悪いけど俺は、そんな子願い下げだから。
俺は波月じゃなきゃ欲しくない。守りたいとも思わない。好きになったりも絶対にしない。
……片想い歴10年を、あんまりナメんなよー?」
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