最低王子と小悪魔女

「ほら、答えてよ。俺は言っただろ? 波月が好きだって。10年間、ずーっと大好きだったんだって。
だから……波月の答えを、俺に聞かせて」


 こいつのどこが、しつけの行き届いた犬だって?
 こんな余裕たっぷりに、じわじわ人を追い詰めるよーな野郎のどこが忠犬だっ!


 あたしは息が止まりそうなくらいまっすぐな眼差しを受けながら、目を激しく上下左右に泳がせて、やがて腹の底から思いっきり溜め息を吐き出した。


 そうだな。逃げないって決めたもんな。
 なら向かい合わなくちゃ。慎吾とも、自分の気持ちとも。
 

「……おうよ。そこまで言うなら聞かせてやろーじゃないの。耳の穴かっぽじってよーく聞け」

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