最低王子と小悪魔女
終話 重ねがけの魔法
教室で卒業証書を受け取って、高校生活最後の授業が終了した。
先に集合写真を撮ろうというのは、前もってクラス全員で決めていたので、あたしたちは荷物を置いて中庭に出る。
空はよく晴れている。桜の季節にはまだ早いけれど、今日の旅立ちの日にはふさわしい。
しめっぽい雰囲気を吹き飛ばすように、あたしはうんとひとつ伸びをした。
「はーるな。おつかれ」
「あれ、慎吾。写真の場所決めして来るんじゃなかったの?」
「他の奴らに任せてきちゃった。高校生活あとちょっとだから、残りは全部波月と過ごしたいし」
3年でまたクラスメイトに返り咲いてからというもの、一年間あれだけべったりだったのに、まだ足りないのか? こいつは?
『うん』って即答されるのは聞かなくてもわかったから、あたしは無駄な質問をするのを止めた。理解しすぎてるっていうのも、なかなか難儀なものだ。