最低王子と小悪魔女
「おーい、そこのバカップル! 夫婦漫才やってないで早く集まれー!」
「最後の最後まで見せつけてんじゃねーよー」
めぼしい場所を見つけたらしい、クラスメイトからお呼びがかかる。
どうでもいいけどその呼ばわり、人目を惹くから止めてほしいものだ。
事実と相違ないから、それはまたそれでタチが悪いんだよ。
「……なんか、言われてるけど?」
「褒め言葉と受け取っておきますかね」
「あれ、全然褒めてないって」
肩をすくめた慎吾に、背後から花那のツッコミが入る。
声が疲れ切っているのは、激闘の名残か。
「あー、卒業証書貰ってソッコー誘拐された人がいるー」
「無事帰してもらえたんだ? よかったなー」