最低王子と小悪魔女

 いやはや、まさに華麗な誘拐劇だった。
 あの美貌にスーツをまとって颯爽と現れたダーリンは、先生から卒業証書を手渡されイイ話をたまわって、さあ解散となったところでさっさとハニーを連れて行ってしまいましたよと。


 それから今までの間に何があったかは、想像するに難くない。ないのだが。

 ……あのバイオレンスな彼氏さん、この一年でいったい何があった? 


「主従カップルには、なんにも言われたくないんだけど」


 気がついてはいたけど、花那はだんだん、言うことに遠慮がなくなってきている。
 ていうかあんた、あたしらのことをそんな風に思ってたのか。


「ほらほら、瀬戸口も早く来いってー! 来ないと三人とも、恐怖の欠席扱いだからなっ」

「いやっ、写真左上の丸枠の人は嫌ーっ!」

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